AIから伝統工芸まで!多様で自由なカリキュラム設計
2018/06/14

TransDは2年プログラムですが、今回は1年目にどんなことを学べるのか、概要を紹介します。私は、今年(2017年)の9月から留学していますので、ちょうど秋学期が終わり、来年から始まる春学期の履修登録がすんだ状態となっています。
秋学期は、サービスデザインの基礎的な手法を学ぶとともに、他分野にわたる課題を広く議論し視野を広げるクラスが中心となっています。
一方で、春学期は、ほとんど選択科目となっており、秋学期で学んだことを踏まえて、自分で選択したテーマについて、深く学ぶというカリキュラムになっています。
以下にクラスごとの概要を紹介します。
秋学期(9月〜12月)
Intensive1:Orientation
夏学期開始後最初の一週間の集中クラス。IDEO(デザイン思考を有名にした著名デザインコンサル)のコンサルタントが講師として、システム思考、フィールドリサーチ等の手法を実践して教えながら、ニューヨーク社会の課題を可視化し、プレゼンする。
Design-Led Research
人々は”なぜ”その行動をするのか、といった人々の動機や感情という定量的に測ることが難しい事象を調査する手法である「デザインリサーチ」を学ぶクラス。
Project Studio 1
学生が4つのプロジェクトにわかれ、それぞれの分野において、サービスデザインの手法を用いながら、解決策や問題提起を行うクラス。本学期は、「終末医療」、「都市の発展」、「気候変動」、「行政サービス」の4テーマからの選択。筆者は終末医療のプロジェクトに入った。
Transdisciplinary Seminar 1
ビットコインは今後世界にインパクトを与えるか、オープンソースはソフトウェア産業以外にどのようなインパクトを与えるか、といった世界をとりまく社会的なホットイシューについて課題図書をよみ、ディベート形式でディスカッションを行うクラス。
Design for this Century
Design Technologyプログラム(主に先端技術の分野でデザインを活用することに特化したプログラム)の学生と合同で、21世紀に発展する科学技術に対する問題点をあぶり出す、講義とディスカッションを行う。AIによる人間支配、IoTによる監視社会の到来、気候変動による海面上昇など、技術が使いようによっては暗黒社会を作ってしまう危険性を直視し、社会と技術のあり方を議論する。
春学期(1月〜5月)
Project Studio 2
様々にありえる未来の可能性を、映像化したりオブジェクトを作るなど実体化して議論を促す「スペキュラティブ(探索的な)デザイン」をテーマにしたプロジェクト。
スペキュラティブデザインについてもう少ししりたい方は、ここのサイトがまとまっています。
選択科目(3クラス分)
TransDの魅力の一つですが、パーソンズの上位機関であるニュースクール大学(以下の記事参照)全体の授業をどれでも3クラス分とることができます。
全部で700以上の院生向けクラスがあり、まさしく、専門領域を超えた視座を養うにふさわしいカリキュラム設計です。筆者は、
- 南米グアテマラにフィールドワークし、ITなどを活用して、伝統工芸品の海外展開を実践するクラス
- プロのグラフィックデザイナーになるための技術(Photoshop等)を磨くクラス
- イノベーションを起こすためのデザイン手法とリーダーシップを学ぶクラス
を受講予定となっています。その他にも、AIやバイオテクノロジーのデザイン、社会起業家育成、外交で用いる外国要人への土産物のデザイン等おもしろそうなクラスがあります。
最後に
2年目のカリキュラムは詳しくまだわかっていませんが、1年間を通じて自分が掘り下げたいテーマについてプロジェクトを進めて、修士論文を作成するコースが中心となるようです。
本日の更新では、プログラムの全体像を浅く広くご紹介していきましたが、次回以降の更新では、個別のクラスについて、筆者の体験を交えながら紹介していければと思います。