インテルが花火にイノベーションを起こす 〜CES2018から見た、今年起きること

   

パーソンズ美術大学の授業紹介の途中ですが、ラスベガスで行われたCES2018(世界中のエレクトロニクス企業が最新のプロダクト・サービスを紹介する世界最大級の展示会)に参加してきましたので、話題が旬なうちにCESについてポストします。

今年のCES2018の特徴は、AIスピーカー、自動運転、AI、IoT、中国企業の躍進、aiboが可愛いなどなど、様々な評価がされています。上記のようなトピックは、あえて私がとりあげるまでもなく素晴らしい記事がたくさん雑誌やネット上にありますので、そこまで日本では話題になっていない、しかし現地ラスベガスでは、その華やかさで注目をさらった、エンターテイメントに関連するトピックをご紹介したいと思います。

<写真:CES2018で展示されたSONYの大人気ロボット aibo>

ラスベガスの夜空を舞うホタルのヒカリ

まずは、この動画をご覧ください。

これは、CES開催期間中にラスベガス高級ホテルの上空にて行われたエンターテイメントショーです。音楽と噴水の動きとともに、無数の光が、花やハート、アルファベットなど様々に色や形を変えて、ホタルの光のように綺麗にゆっくりと動いているのがわかると思います。

こちらの正体は、インテルが開発した”Intel Shooting Star”と名付けられた250機のドローンです。ドローンの下部に色・光量を調節できるLEDを取り付け、事前にプログラムした内容にそって自動制御して、夜空を飛んでいます。

<写真:LEDを取り付けたドローン”Intel Shooting Star”>

インテルといえば、世界第一位の半導体メーカーとして有名ですが、なぜこのようなエンターテイメント事業に進出しようとしているのでしょうか。

データは新しい石油である

彼らは半導体市場で圧倒的なシェアを持っているものの、今後の自動運転車やクラウドサービスといった新市場において、AMDやQualcommの半導体が勢力を伸ばしていることに強い危機感を感じているのだと思います。そこで、インテルは新たな成長の軸をデータに見定め、”DATA IS THE NEW OIL”とCESにて宣言しました。

<写真:インテルのプレゼンテーション(CES2018)>

例えば、ドローンを使い、地表や建物をあらゆる角度で撮影し、3Dモデリングを作成し、そのデータを用いて、建物の修繕箇所の発見や効果的な農薬散布のためのコンサルティング、自動運転に必要な高精度マップの作成などを行うする事業を構想しているようです。

今回紹介したエンターテイメント用ドローンは、おそらく上記のデータ収集用ドローン開発の副産物としてうまれてきたものだと思います。軽量で、長時間運用でき、多数を正確に制御できるドローンの開発が、この事業を後押ししたのでしょう。

プロジェクションマッピングの次へ

ここ数年にかけて、大流行りしたエンターテイメント技術は、プロジェクションマッピングかと思います。東京ディズニーランドの”ワンス・アポン・ア・タイム”や東京駅でのプロジェクションマッピングなど、どこかでご覧になった方が非常に多いのではないでしょうか。CESに行く前に、ロサンゼルスのディズニーランドにも行きましたが、アメリカでもプロジェクションマッピングを活用したショーが大人気でした。

<写真:プロジェクションマッピング>

今回のドローンショーを見て、プロジェクションマッピングの次に流行るエンターテイメントは、このドローンによるイルミネーションショーだと確信しました。プロジェクションマッピングでは、建物などの平面に映し出すことが必ず必要になりますが、一方でドローンのショーであれば、上空が開けていて、観客の安全が確保できればどこでも行うことができます。

上空で行われるショーといえば、花火です。花火大会は、夏の風物詩として、また町おこしの目玉として、日本の津々浦々で行われています。花火大会は、何万発打ち上げるかといった数が、雑誌やテレビでもとりあげられ、集客力の鍵となっていますが、もはや差別化に限界がきているのではないでしょうか。今後は、このドローンを用いたイルミネーションショーが、花火大会のイノベーションとして必ず導入されていくでしょう。

実際に、昨年2017年に、ハウステンボスが日本で初めてこのドローンショーを行ったとのことです。今年、どこの企業や自治体が、この新しいショーを取り入れるか、注目していきたいと思います。

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