パーソンズ・スクール・オブ・デザインとは?
2017/12/30

まずは、筆者の通う、大学、学科、コースについて、複数回の記事を通じて紹介していこうと思います。
パーソンズは、1896年に印象派の画家によって創立し、産業革命の進展の中で、芸術の一般社会への応用という理念を掲げ、アメリカで最初のファッションデザイン、インテリアデザイン、広告デザイングラフィックデザインの学科を生み、アメリカのインダストリアルデザインの礎を築いてきた学校です。
更に、1970年代に、黒人史、女性史、映画史を初めてとりいれる等、社会学の分野で先進的な研究をしていたニュースクール大学(The New School)の傘下に入ることとなり、現在は、デザインのみならず、社会学、一般教養、人文科学、建築、芸術、音楽、演劇、経済学、心理学、公共政策等と、多分野にわたる学科を擁する研究機関の一翼を担うこととなりました。
生徒は、実際に他学科の授業を受けることができ、例えば私も受けようと思えば、オーケストラの一員として演奏したり、ミュージカルのレッスンを受けることもできます。(チャレンジしていませんが・・・)
ニュースクール傘下のパーソンズは、様々なデザインの学科を擁しており、具体的には、建築、ファッション、インテリア、照明、写真、グラフィック、プロダクト、芸術、コミュニケーションといった学科があります。(余談ですが、最近では、サッカー選手のベッカムの息子、ブルックリン・ベッカムが写真学科に入学したとのこと。)
中でも一番有名な学科といえば、ファッション学科で、世界三大ファッションスクールの一つとされていて、社会学が強いニュースクールの傘下にある影響もあり、アート性を重視するだけでなく、ビジネス、サステナビリティ、倫理性等の社会性といった多分野を包含したファッションデザインを行う校風であるとされています。
パーソンズが考えるデザインとは、アーティスティックに自己の表現をする、人々の感性に訴えかける格好のいいものをつくる、といったことに留まらず、LGBTのような人権問題、地球環境問題といった社会課題に向き合い、解決策や新たな問題を提示するものとなっているように思います。
ファッションにはあまり詳しくないので、パーソンズを代表する作品を紹介できないのですが、学生の作品の中に象徴的なものがあったので、ひとつ紹介してみます。
この作品は、ニューヨークのゴミ袋の特徴に似せてデザインしたもので、ニューヨークのファッション業界が廃棄物を多く生み出し、ゴミの多いニューヨークのイメージ作りの一端をになってきたことを表現しているとのことです。ファッションとしての評価はさておきとして、ファッションを通じてニューヨークにおける社会問題を提示している面白い作品だと感じました。
次回の更新では、私が所属する、Transdisciplinary Designという学科について説明しようと思います。